タクトタイム

タクトタイムとは、生産現場において製品を一定のリズムで生産するための基準となる時間を指す。主に製造業や組立工程、洗浄ラインなどで使用される用語で、1つの製品を完成させるまでに必要なサイクル時間を意味する。例えば、1時間で60個の製品を生産する場合、タクトタイムは1分となる。この時間を基準に、各工程の作業速度や機械の動作タイミングを設計・調整することが求められる。

タクトタイムを正確に設定することで、設備や作業員の稼働効率を最適化でき、生産ライン全体のバランスを整えることが可能となる。洗浄装置などでは、ワークの投入から取り出しまでの時間をタクトに合わせることで、安定した品質とスループットの確保が実現する。また、各工程でのムダを可視化し、改善を進める上でも重要な指標となる。

近年では、自動制御やデジタルモニタリングによってタクトタイムのリアルタイム管理が行われることが多く、遅延や不具合の早期発見にもつながっている。適切なタクトタイムの設定と管理は、生産性向上、コスト削減、納期遵守に直結するため、ものづくり現場における基本概念の一つとして欠かせない。